■大気による色収差(分散)とは?
惑星観測の際に、夜空の低い高度では地球上の大気中を光が斜めに通過する為、プリズム効果によって惑星の上下に色にじみが発生します。
45度以上の観測高度ではあまり問題にならないのですが、夏季の惑星の観測条件の良い時期ほど南中高度は低くなり、高度30度程度以下での観測や撮影を余儀なくされる場合が多くあります。そのような時には大気差による色にじみによって解像度が低下してしまいます。
その色収差を打ち消す補正プリズムを通すことで、大気分散を補正します。
■望遠鏡への接続上のご注意
拡大投影撮影もしくは、直接焦点撮影の場合であれば「エクステンダーやバローレンズ」を併用し、光学系の合成F値をF20以上にします。
ADCはプリズムを内蔵している為、明るいF値の光学系では別の収差が発生しADC補正による像質改善効果が十分得られません。
■ADCの使い方は簡単
まず、2本のプリズム回転レバーと目印リング固定ねじが、写真のように一直線になる位置にセットします。
目印リングの水準器の泡が中央になるようにADCを望遠鏡に接続します。この時に回転レバー等は水平な方向になります。
【ご注意ください】ニュートン式反射望遠鏡や天頂ミラーなどを併用した際には水準器はご使用になれません。回転レバーが【望遠鏡視野内の水平な方向に】なるような向きで望遠鏡に接続してください。また、観測時間経過と共に望遠鏡が回転する場合には、1時間以内を目安に水平位置を修正していただく必要があります。
2本のレバーが揃っている位置が補正量0の位置です。アイピースを接続して、2本のレバーを同じ角度量を反対側に徐々に回転させていきます。惑星の上下に出ている色にじみが最も小さくなる位置で固定します。
2本のレバーの回転量が違うと視野内で惑星が大きく移動してしまいます。また、補正方向が垂直線上にならないので補正が完全にできません。周囲の目盛りを参考にして、少しずつ両方のレバーを同量ずつ回転させてください。
C-MOSカメラなどでの撮影の際には、接眼レンズで良好な位置を探してからカメラに交換してください。より最適な位置に調整する為には、カラーカメラを接続し、撮像用ソフト(SharpCap や Firecapture)のCOLOR Saturation を最大にして飽和させることで微妙な調整が可能になります。