<月面の大ファン・中川昇のここがポイント>
今まで月面眼視観察用の「フィルターセット」はありそうでありませんでした。濃度が1種類だけの「ムーングラス」はありましたが、今回ご紹介する製品は何と4種類のフィルターがセットされている製品になります。
さて、ひとくちに月といっても満月と半月と三日月では必要とされるフィルターの濃度がまるで違います。さらに使用する望遠鏡の口径や倍率でも要求されるフィルターの濃度がまるで違います。その点、今回のムーンフィルターはセットになっているので、月齢や望遠鏡や倍率や眼の個人差(眩しさに対する耐性の違い)をも考慮した、目に優しい、長時間観察しても無理がない、その結果月面観察に集中出来て、今まで見えなかった地形が見えてくる可能性が高まります。
撮影:加曽利哲也様(丸印は中川記入)
さらに、ムーンフィルターというと満月前後の月が明らかに眩しい月齢だけに使うものというイメージがあるかと思います。私も当初そう考えていました。でもよく考えてみると半月でも実は周辺部はかなり眩しいのです。写真でいえば露出オーバーで白く写ってしまう部分。さらには上の写真にもあるような明るい光条を有したクレーターたち。例えば月面一明るいクレーターと言われるアリスタルコスクレーターの内壁。月面最美と言われるコペルニクスクレーター内部の段丘。光条の広がりが美しいケプラークレーター。今まで眩しすぎて敬遠していた月面の知られざる魅力をこのムーンフィルターが魅せてくれる期待感があります。
また、3枚の濃度の違うフィルターを予めアイピースに装着しておく方法もあります。低倍率のアイピースには濃度の濃いもの、中倍率のアイピースには中間の濃度のもの、高倍率のアイピースには一番濃いものという感じです。これによりフィルターの脱着の手間も省くことが出来ます。
加えて付属のMoon&Skygrowフィルターを使えば、もしかしたら月の海の微妙な濃淡や溶岩の流れもコントラスト良く見えるかもしれません。今まで見逃していた月の面白さの新発見があるかもしれません。そんな新しいワクワクを提供してくれるニューアイテムの登場です。2019年7月のアポロ11号着陸50年を契機に月に注目が集まる時期です。ぜひ、この機会に「ムーンフィルター」を常用して月の知られざる一面を追いかけてみてはいかがでしょうか?大げさにいうと「月面新観測時代を切り開く画期的なアクセサリー」なのかもしれません。初回ロットの入荷は僅かです。私もさっそく予約しました。
このようにフィルターを2~3枚重ねることも可能です。これによりさらに濃度の選択肢が増えますので、使える場面が多くなることが期待されます。
フィルターの取付は31.7mmアイピースの先端にあるフィルターネジを使用します。広視界のアイピースにも使用できますから、満月が視野いっぱいに広がっていて、しかも眩しくない、長時間快適に見られる、今までしたくても出来なかった「満月散歩」「満月探索」が思う存分楽しめるようになりました。
しかもその日の月齢、透明度、自分の機材、倍率、自分の眼などに最適な濃度をチョイス出来る。この自由度。この選択肢。たかがフィルター、されどフィルター。新月面観察時代始動。
中川昇のムーンフィルターのレビューはこちら